任意売却をすると、信用情報はどうなるのか ブラックリストの誤解

目次

結論

任意売却についてご相談を受けると、

「任意売却をするとブラックリストに載りますか?」

とよく聞かれます。

最初に、2つ整理します。

1つ目。「ブラックリスト」という名前の名簿は存在しません。

正確には、信用情報機関に、延滞や代位弁済、債務整理などの情報が登録されることがあります。それを一般に「ブラックリストに載る」と表現しているだけです。

2つ目。任意売却そのものが、いわゆる事故情報として登録されるわけではありません。

問題になるのは、その前後に起きる長期延滞や代位弁済などです。

つまり、

「任意売却をしたから信用情報に傷がつく」

という理解は正確ではありません。

すでに住宅ローンの滞納が進んでいる場合、任意売却をするかどうかを決める前に、信用情報に影響する状態になっている可能性があります。

ここを正しく理解しておくことが大切です。

「ブラックリスト」とは何なのか

実際には、ブラックリストという名前の一覧表が金融機関に回っているわけではありません。

日本には、主に3つの信用情報機関があります。

信用情報機関主な加盟業態
CICクレジット会社・信販会社など
JICC消費者金融・貸金業者など
KSC(全国銀行個人信用情報センター)銀行・信用金庫・信用組合など

住宅ローンでは、銀行が加盟しているKSCが重要になります。

ただし、金融機関によって加盟先は異なり、信用情報機関同士には一部の情報を交流する仕組みもあります。

「住宅ローンだからKSCだけ見ればいい」と単純に考えるのではなく、自分の信用情報を確認したい場合は、必要に応じて各機関へ開示請求するのが確実です。

何が信用情報に登録されるのか

信用情報には、単に「返済できなかった」という情報だけが載るわけではありません。

契約内容、残高、返済状況なども登録されています。

そして、状況によっては、

  • 延滞
  • 代位弁済
  • 保証履行
  • 債務整理
  • 強制回収手続
  • 破産・民事再生

などの情報も登録されます。

たとえば全国銀行個人信用情報センターでは、ローンなどの取引情報として延滞・代位弁済・強制回収手続等の事実が登録対象になっています。

【最重要】「1回遅れたら即ブラック」ではありません

ここは誤解の多いところです。

住宅ローンを1日遅れたから、その瞬間に「ブラック」になる。

そういう単純な仕組みではありません。

たとえばCICでは、「異動情報」を、

約定返済日から61日以上または3か月以上、支払いが延滞しているもの

としています。

ただし、これはCICの定義です。

金融機関や信用情報機関によって登録内容やタイミングは異なります。

ですから、

「何か月で絶対にブラックになる」

と一律に断定することはできません。

一方で、滞納が長期化し、期限の利益を失い、保証会社の代位弁済まで進めば、信用情報への影響はより明確になります。

任意売却と信用情報の順番

一般的な流れで考えると分かりやすくなります。

  1. 住宅ローンの返済が遅れる
  2. 延滞が続く
  3. 督促状・催告書などが届く
  4. 期限の利益を失う
  5. 保証会社が代位弁済する
  6. 任意売却または競売へ進む

この中で信用情報に影響するのは、任意売却という売却方法そのものではなく、延滞や代位弁済などの事実です。

ですから、

「任意売却をしなければ信用情報を守れる」

とは限りません。

すでに長期延滞や代位弁済まで進んでいるなら、任意売却を避けても、それまでに登録された情報が消えるわけではありません。

競売にすれば信用情報は守られるのか

これも違います。

任意売却をしないで競売まで進んだからといって、それ以前の延滞や代位弁済がなかったことにはなりません。

信用情報を守るために任意売却を避ける、という考え方には注意が必要です。

では、任意売却を選ぶ意味は何か。

信用情報ではなく、その後の生活です。

任意売却では、債権者の承諾を得ながら通常の不動産売買に近い形で売却するため、

  • 競売より高く売れる可能性がある
  • 残る債務を少なくできる可能性がある
  • 引渡し時期を相談できる場合がある
  • 仲介手数料などを売却代金から配分してもらえる場合がある
  • 競売のような形で物件情報が公開されることを避けられる

といった違いがあります。

任意売却は信用情報を守るための制度ではなく、住宅ローン問題を整理し、その後の生活を立て直すための選択肢の一つです。

信用情報は、どのくらい残るのか

ここは現在の公式情報に沿って整理しておきます。

JICCでは、契約内容や返済状況などについて、原則として契約継続中および契約終了後5年以内とされています。

全国銀行個人信用情報センターでは、ローン等の取引情報は契約期間中および契約終了日、完済していない場合は完済日から5年を超えない期間とされています。

また、KSCの官報情報である破産・民事再生手続開始決定については、現在、決定日から7年を超えない期間です。以前は10年でしたが、2022年に7年へ短縮されています。

つまり、「何でも5年」「破産なら10年」と一括りにはできません。

情報の種類と信用情報機関によって違います。

最新の登録期間は、それぞれの公式サイトで確認してください。

自分の信用情報は、自分で確認できます

ここはぜひ知っておいてください。

信用情報は、本人が開示請求できます。

「もうブラックになっているかもしれない」

「いつまで残っているのだろう」

と想像だけで悩む必要はありません。

各信用情報機関に本人開示を申し込めば、現在登録されている内容を確認できます。

そして、KSCは、本人が自分の情報を開示した記録を金融機関には回答しないと明記しています。つまり、自分の信用情報を確認したこと自体を理由に審査で不利になるものではありません。

開示方法や手数料は各機関で異なるため、公式サイトで確認してください。

信用情報に記録があると、何が難しくなるのか

登録内容によりますが、一般的には新たな信用取引の審査に影響します。

たとえば、

  • クレジットカード
  • カードローン
  • 自動車ローン
  • 住宅ローン
  • 携帯電話端末の分割払い

などです。

ただし、記録があるから何もできなくなるわけではありません。

銀行口座は通常使えます。

デビットカードも利用できます。

現金や電子マネーでの買い物もできます。

賃貸住宅も、信用情報だけで一律に借りられなくなるわけではありません。

ただし、信販系の家賃保証会社を利用する物件では、審査に影響することがあります。

そのため、任意売却後の住まい探しでは、不動産会社に現在の状況を伝えたうえで物件を探すことが大切です。

記録が消えれば、住宅ローンは必ず通るのか

必ずではありません。

信用情報は、住宅ローン審査の一つの材料です。

金融機関は、

  • 年収
  • 勤続年数
  • 年齢
  • 他の借入
  • 自己資金
  • 物件の担保評価
  • 過去・現在の信用情報

などを総合的に見ます。

ですから、

信用情報から過去の情報がなくなった=住宅ローンに必ず通る

ではありません。

逆に言えば、過去に住宅ローンで問題があったからといって、一生住宅ローンを組めないという意味でもありません。

時間が経ち、家計や収入を立て直し、改めて審査を受けることはできます。

「スーパーホワイト」は気にしすぎなくていい

インターネットでは、

「信用情報が何もないとスーパーホワイトになって審査に落ちる」

という説明も見かけます。

確かに、信用情報が少なければ金融機関が判断できる材料も少なくなります。

ただし、それだけで審査結果が決まるわけではありません。

「クレジットカードを作って無理に実績を作らなければならない」とまで考える必要はありません。

大切なのは、無理な借入をせず、収入と支出を立て直し、次に住宅ローンを組むときに無理のない状態を作ることです。

私たちに決められないこと

正直に書いておきます。

次のことは、株式会社エルライフが決められるものではありません。

  • 信用情報に何が登録されるか
  • いつ登録され、いつ削除されるか
  • 将来クレジットカードの審査に通るか
  • 自動車ローンに通るか
  • 住宅ローンに通るか
  • 賃貸住宅の保証会社の審査に通るか

それぞれ、信用情報機関や金融機関、保証会社等の基準によります。

そして、

「任意売却をすれば信用情報に傷がつきません」

とは申し上げません。

逆に、

「任意売却をしたからブラックになります」

とも申し上げません。

どちらも正確ではないからです。

では、誰に相談すればいいのか

信用情報の現在の登録内容を知りたいなら、まず信用情報機関への本人開示が最も確実です。

そのうえで、住宅ローン問題そのものは信用情報だけでは終わりません。

家をどうするのか。

売ったらいくら残るのか。

残った債務をどうするのか。

次の住まいはどうするのか。

離婚や税金など、他の問題はないか。

相談先にはそれぞれの専門があります。

弁護士は債務整理などの法律問題を扱います。

税理士は税金を扱います。

不動産会社は、不動産の価格と売却を扱います。

相談する側から見れば、問題は一つです。

「住宅ローンが払えなくなった。これから自分と家族の生活をどう立て直すのか」

ここから考える必要があります。

株式会社エルライフの考え方

私たちは不動産会社ですが、

「任意売却をしましょう」

というところから始めません。

信用情報のご相談では、まず正しい順番を知っていただくことが大切だと考えています。

「任意売却をしたらブラックになる」と思い込んで何もせず、時間だけが過ぎる。

その結果、代位弁済や競売まで進んでしまう。

それでは、信用情報の問題を避けられないうえに、不動産の処分についても選べる方法が減ってしまいます。

誤解のために選択肢を失ってほしくありません。

だから、分からないものは確認する。

信用情報は本人開示で確認する。

家の価格は査定で確認する。

残債は金融機関に確認する。

事実を一つずつ揃えてから、次を決めます。

士業会は「提携先」ではありません

株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。

ここには弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、それぞれ違う専門分野を持つ人がいます。

社員ではありません。

案件を回すためだけの紹介先でもありません。

一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考えるチーム・仲間です。

信用情報の問題が、債務整理や自己破産などの法的整理につながる場合、その判断は弁護士の領域です。

だからこそ、一つの専門分野だけで結論を決めない形を取っています。

自己破産について

自己破産を避けるべきだ、と私たちは申し上げません。

必要なケースはあります。

そして、その判断をするのは弁護士です。

なお、全国銀行個人信用情報センターでは、破産・民事再生手続開始決定の官報情報は現在7年を超えない期間登録されます。

だからといって、

「7年残るから自己破産しないほうがいい」

という結論になるわけではありません。

目の前の債務を返済できるのか。

生活を立て直せるのか。

不動産を売った場合にいくら残るのか。

そこまで確認したうえで、必要な法的整理を弁護士と検討します。

売却ありき、自己破産ありき、リースバックありきで結論を決めない。

これが私たちの考え方です。

よくある相談場面

※以下は特定の相談者の実例ではなく、一般的に起こり得る相談場面です。

ケース1 任意売却をするとブラックになると思っていた

任意売却そのものが信用情報に登録されると思い、何もできずにいた。

仕組みを確認すると、問題になるのは任意売却そのものではなく、すでに起きている延滞や代位弁済などだと分かった。

そこで初めて、不動産をどう整理するかを冷静に考えられるようになったというケースです。

ケース2 本人開示で確認した

何年前の情報がまだ残っているのか分からず、ずっと不安だった。

信用情報を本人開示して、現在登録されている事実を確認してから今後を考えたというケースです。

ケース3 「もう一生住宅ローンは無理」と思っていた

過去の延滞があるため、一生住宅ローンは組めないと思い込んでいた。

信用情報には登録期間があり、審査も信用情報だけで決まるわけではないと知り、生活と家計を立て直すことを先に考えたというケースです。

専門家コメント 宅地建物取引士 松本

「ブラックリストに載るのが怖くて、任意売却できません」

このご相談は、本当に多いです。

そのとき私は、まず、

「ブラックリストという名簿があるわけではありません」

とお伝えします。

そして、もう一つ。

「任意売却そのものが原因ではありません」

とお伝えします。

住宅ローンの返済が長期間滞れば、信用情報に影響する可能性があります。

さらに代位弁済まで進めば、その事実も登録対象になります。

ですから、任意売却だけを避けても、すでに起きたことが消えるわけではありません。

ここを誤解したまま時間を失うことのほうが、私は怖いと思っています。

それから、信用情報について不安なら、自分で確認してください。

信用情報機関に本人開示を申し込めます。

分からないまま悩んでいると、実際より大きく見えてしまいます。

事実が分かれば、次に何をすればいいかを考えられます。

もう一度家を買えるのか、というご質問もいただきます。

私は、

「今から一生無理だと決める必要はありません」

とお答えします。

まず今の問題を整理する。

生活を立て直す。

そして将来、条件が整ったときに改めて金融機関の審査を受ける。

順番はそれでいいのです。

大事なのは、どこの会社に相談するかだけではありません。

誰を自分の味方につけるのか。

「任意売却なら信用情報は大丈夫です」と都合の良い説明をする相手ではなく、できることも、できないことも、正確に説明する相手を選んでください。

よくあるご質問

Q1. ブラックリストという名簿は本当にないのですか?

はい。

「ブラックリスト」という名称の名簿があるわけではありません。

信用情報機関に延滞や代位弁済などの情報が登録されている状態を、一般にそう呼んでいます。

Q2. 任意売却をすると信用情報に傷がつきますか?

任意売却そのものが事故情報として登録されるわけではありません。

長期延滞や代位弁済など、それまでに起きた事実が信用情報に影響します。

Q3. 1回でも住宅ローンを遅れたらブラックになりますか?

一律には言えません。

たとえばCICでは、異動情報について61日以上または3か月以上の延滞という基準を示しています。信用情報機関や金融機関によって扱いは異なります。

Q4. 信用情報は何年残りますか?

情報の種類と信用情報機関によって違います。

JICCやKSCの取引情報は原則として契約終了後などから5年以内というものがあり、KSCの破産・民事再生の官報情報は現在7年を超えない期間です。最新情報は各機関の公式サイトで確認してください。

Q5. 自分の信用情報を調べると、審査に悪影響がありますか?

本人開示そのものを理由に不利になるものではありません。

KSCも、本人が開示した記録は会員金融機関に回答されないと案内しています。

Q6. もう一度住宅ローンを組めますか?

可能性はあります。

ただし、信用情報が消えれば自動的に通るわけではありません。収入、勤続年数、他の借入、自己資金などを含めて金融機関が審査します。

まとめ

  • 「ブラックリスト」という名簿は存在しない
  • 信用情報機関は主にCIC・JICC・KSC
  • 任意売却そのものが事故情報として登録されるわけではない
  • 問題になるのは、長期延滞・代位弁済・債務整理など
  • 1回遅れただけで即ブラックとは限らない
  • CICでは異動情報について61日以上または3か月以上の延滞という基準がある
  • JICC・KSCの取引情報には、契約終了後等から5年以内の登録期間がある
  • KSCの破産・民事再生の官報情報は、現在7年を超えない期間
  • 自分の信用情報は本人開示で確認できる
  • 任意売却を選ぶ意味は、信用情報ではなく、残債や売却条件、その後の生活を整えること
  • 信用情報が消えれば必ずローンに通るわけではないが、一生借りられないという意味でもない

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