「任意売却はできない」と言われた方へ 本当にできないのか、確認したい5つのこと

目次

結論

「できない」と言われたとき、その理由が3つのどれに当たるかで、話がまったく違います。

理由の種類変わる可能性
1.構造的にできない**難しい。**関係者の同意が得られないなど
2.時間が足りない**状況による。**残り時間の測り方で判断が変わる
3.依頼先の力量や姿勢の問題変わる可能性がある

多くの記事は、1番の話しか書いていません。

しかし実務では、3番も実際にあります。

任意売却は、債権者との交渉、後順位の抵当権者との調整、税金の差押えの協議といった作業が必要で、慣れていない会社では進まないことがあります。

ですから、「できない」と言われたら、まずその理由を具体的に聞いてください。

そして正直に申し上げます。

本当にできない場合もあります。

そのときは、次の準備に切り替えるほうが現実的です。

はじめに

「任意売却は難しいです」

そう言われたとき、多くの方は**「もう終わりだ」**と受け取られます。

しかし、その一言には、いろいろな意味が含まれています。

  • 債権者が承諾しないから
  • 共有者が反対しているから
  • 時間がないから
  • この会社では扱えないから

最後のものを、そう正直に言う会社は少ないのです。

この記事は、理由を分解して確認するためのものです。

確認1 誰が「できない」と言ったのですか

まず、ここです。

銀行や保証会社が言った場合

債権者本人の判断です。

これは重いです。

任意売却は、債権者の合意がなければ成立しません。

通常の仲介売却は所有者の意思があれば売却できますが、任意売却はそうではありません。

ただし、その理由を確認する価値はあります。

  • 価格が低すぎると判断されたのか
  • 手続きの段階の問題なのか
  • 提出した資料が不十分だったのか

理由が分かれば、対応できることもあります。

不動産会社が言った場合

その会社の判断です。

債権者に打診した結果なのか、打診する前の段階の判断なのかを、必ず確認してください。

「うちでは難しい」と「債権者が承諾しない」は、まったく違う話です。

弁護士や司法書士が言った場合

法律の観点からの見解です。

ただし、不動産の実務とは視点が異なることがあります。

確認2 「できない理由」は具体的に何ですか

曖昧な答えで終わらせないでください。

よくある理由を挙げます。

理由A 債権者が承諾しない

実際にあります。

抵当権者との協議を行っても、売却条件や弁済方法などを理由に、任意売却への同意が得られない場合があります。

債権者にも立場があります。

回収額や売却条件などを踏まえて、任意売却に応じるかどうかを判断します。

確認すべきこと:

価格や条件を見直せば、判断が変わる余地はあるのか。

理由B 共有者が同意しない

共有名義の場合、すべての共有者の協力が必要になります。

夫婦で共有している場合や、離婚した相手が反対している場合など、実際に起こり得る問題です。

確認すべきこと:

反対している理由は何か。

数字や条件を具体的に示すことで、話し合える余地はないか。

理由C 後順位の抵当権者が応じない

これも実際にあります。

任意売却では、売却するために後順位の抵当権者にも抵当権の抹消について協力してもらう必要があります。

その方が応じなければ、進まない場合があります。

確認すべきこと:

交渉を実際に行ったのか。

まだ打診もしていない段階なのか。

ここは大きな違いです。

理由D 時間が足りない

手続きが進んでいる場合、これは深刻です。

任意売却には、買主探しに加えて、

  • 債権者との調整
  • 売却条件の確認
  • 配分の確認
  • 書類の準備
  • 売買契約
  • 決済

などの期間が必要です。

確認すべきこと:

期日から逆算した具体的な日付を示してもらってください。

「時間がない」だけではなく、

「○月○日までに買主を決める必要があり、それが難しい」

というところまで説明してもらうことが重要です。

理由E 買い手がつかない

時間的余裕が少なくなるほど、通常の住宅ローンを利用する買主では、融資審査や契約・決済までの日程が間に合わないことがあります。

その場合、条件によっては現金で購入できる買主を探すなど、別の方法を検討することもあります。

確認すべきこと:

通常の販売方法だけでなく、残された時間に合わせた販売方法を検討したのか。

理由F 物件そのものの事情

例えば、

  • 再建築が難しい
  • 権利関係が複雑
  • 建物に大きな問題がある
  • 需要が少ない地域にある

など、物件そのものに売却を難しくする事情がある場合もあります。

確認すべきこと:

それでも購入する人がいる価格帯や条件はないのか。

理由G 税金の差押えが解除されない

税金を滞納して不動産に差押えが入っている場合、役所との協議が必要になることがあります。

解除に応じるかどうかは、役所の判断です。

確認すべきこと:

実際に協議を行ったのか。

配分案や売却条件を整理したうえで打診したのか。

確認3 どこまで実際にやったのですか

ここが、いちばん大事です。

「できない」と言われたとき、次のことを聞いてください。

  • 債権者に、実際に打診しましたか
  • いつ、誰に、どんな内容で打診しましたか
  • 後順位の抵当権者に、実際に連絡しましたか
  • 役所と、実際に協議しましたか
  • 配分表を作って、提出しましたか
  • 価格や条件を変えて、再度打診しましたか

「やったが、断られた」と「やっていない」は、まったく違います。

そして、これらについて具体的に答えられない場合があります。

その場合、物件そのものの問題ではなく、進め方の問題かもしれません。

確認4 価格を変えれば、変わりますか

任意売却では、通常の不動産売却のように、所有者だけの判断で自由に売却条件を決められるわけではありません。

債権者等との調整が必要です。

そして価格が変われば、

  • 債権者の回収見込み
  • 買主が現れる可能性
  • 各債権者等への配分

なども変わります。

そのため、

「この条件では難しいが、この条件なら検討できる」

という話になることもあります。

価格や条件を変えた場合に可能性があるのか、確認してください。

確認5 いつまでなら、可能性がありますか

「できない」が、

「今の条件ではできない」

なのか、

「時間的にもう間に合わない」

なのかで、話はまったく違います。

期日から逆算した日付を、必ず聞いてください。

競売手続きが進んでいる場合は、特に重要です。

買受けの申出があった後に競売の申立てを取り下げる場合には、民事執行法第76条第1項により、最高価買受申出人または買受人等の同意が必要となる場合があります。

開札まで進むと、状況は大きく変わります。

ですから、

「まだ何ヶ月あるか」ではなく、「いつまでに何を終わらせる必要があるか」

で考えてください。

セカンドオピニオンという選択

5つを確認しても、納得のいく答えが得られない場合。

別の専門家の意見を聞く、セカンドオピニオンという選択肢があります。

これは、今の相手を否定することではありません。

別の専門家が確認した結果、

「今の会社の説明で合っています。そのまま進めたほうがいいです」

という結論になることも当然あります。

反対に、

「まだ確認されていないことがあります」

となることもあります。

ただし、時間には注意してください。

セカンドオピニオンを取ること自体にも時間がかかります。

競売手続きが進んでいる場合は、残り時間を確認したうえで、早めに判断してください。

【正直に】本当にできない場合もあります

期待だけを持たせるのは、不誠実だと思います。

例えば、

  • 共有者が最後まで同意しない
  • 後順位の抵当権者がどうしても応じない
  • 債権者が売却条件に承諾しない
  • 残り時間が足りない
  • 買主が現れない

こうした場合には、任意売却が成立しない可能性があります。

任意売却が成立しなければ、その後、裁判所で競売手続きが進むことがあります。

その場合に大事なのは、

「できない任意売却」に時間を使い続けることではありません。

次の生活の準備です。

  • 次の住まいを探す
  • 引越し費用を準備する
  • 退去までの時期を確認する
  • 残る債務について整理する
  • 必要であれば弁護士に相談する

「なんとかします」と言われて時間を使い、結局間に合わなかった。

これが、いちばん避けたい結末です。

私たちに決められないこと

正直に書いておきます。

次のことは、私たちの一存では決められません。

  • 任意売却に応じてもらえるかどうか(債権者等の判断です)
  • 売り出しの価格や売却条件(債権者等の意向が反映されます)
  • 共有者が同意するかどうか(ご本人の判断です)
  • 後順位の抵当権者が応じるかどうか(その方の判断です)
  • 税金の差押えを解除してもらえるかどうか(役所の判断です)
  • 買主がいつ現れるか
  • 競売の申立てが取り下げられるかどうか(債権者等の判断です)

「うちならできます」とは、確認する前には申し上げません。

では、誰に相談すればいいのか

「できない」と言われた背景には、不動産だけでなく、法律や税務の問題があることもあります。

  • 弁護士は、法的な整理や手続きを検討します
  • 司法書士は、登記の問題を確認します
  • 税理士は、税務上の問題を検討します
  • 不動産会社は、価格と売却の可能性を判断します

そして、「できない理由」が複数にまたがっていることもあります。

相談する側から見れば、問題は一つです。

「この家を、どうすればいいのか」

そして、その先にあるのは、

「これから自分と家族の生活を、どう立て直していくのか」

という問題です。

株式会社エルライフの考え方

私たちは不動産会社ですが、「不動産会社だから家を売る」というところから始めません。

そして、

「うちならできます」

と安易に言うこともしません。

確認もせずに「できます」と言って引き受け、結局できなかったら、困るのはご本人だからです。

最初に考えるのは、

この方にとって最終的に何が一番いいのか。

ということです。

確認した結果、できる可能性があるなら、その方法を考えます。

確認した結果、できないと判断したら、そうお伝えします。

その場合は、できないことに時間を使うより、次の生活の準備に時間を使っていただくほうがいい場合があります。

士業会は「提携先」ではありません

株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。

ここには弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、それぞれ違う専門分野を持つ人がいます。

社員ではありません。

案件を回すための紹介先でもありません。

一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考える、チーム・仲間という関係です。

「任意売却はできない」と言われる原因が、不動産の外にあることは実際にあります。

後順位の抵当権者との問題、税金の差押え、共有者との問題、残った債務の問題。

それぞれ、必要な専門分野が違います。

自己破産について

「自己破産しないほうがいい」とは申し上げません。

必要なケースは実際にあります。

そして、その判断をするのは弁護士です。

任意売却ができない場合には、法的整理も含めて検討することがあります。

その判断は、弁護士とご相談ください。

売却ありき、自己破産ありきで結論を決めない。

これが私たちの考え方です。

よくある相談場面

※以下は特定の相談者の実例ではなく、一般的に起こり得るケースです。

ケース1:打診されていなかった

「任意売却はできない」と言われた。

しかし確認すると、債権者にまだ具体的な打診がされていなかったというケースです。

この場合、

「債権者ができないと言った」のではありません。

依頼先が「難しい」と判断していただけという可能性があります。

ケース2:価格や条件の問題だった

債権者が承諾しない理由を確認すると、売却価格や条件に問題があったというケースです。

条件を整理して再度協議することで、話が変わる可能性があります。

ただし、最終的に承諾するかどうかを決めるのは債権者等です。

ケース3:本当にできなかった

必要な関係者との協議を行ったものの、同意が得られず、任意売却を成立させることができなかったというケースです。

この場合、私たちにできることは限られます。

だからこそ、

できないことを、いつまでも「できるかもしれない」と言い続けないことも大切です。

専門家コメント 宅地建物取引士 松本

「任意売却はできないと言われました」

こうおっしゃる方に、私が最初にお聞きするのは、

「誰が、どういう理由で言いましたか」

ということです。

この一言で、話が変わります。

債権者が「承諾しない」と言ったのか。

不動産会社が「うちでは難しい」と言ったのか。

この二つは、まったく別の話です。

そして、これは申し上げにくいことですが、任意売却は、慣れていない会社では進まないことがあります。

債権者との調整、後順位の抵当権者との調整、税金の差押えへの対応。

普通の不動産売買にはない作業が必要になるからです。

だから、

「実際にどこまでやったのか」

を聞いてください。

債権者に打診したのか。

後順位の抵当権者に連絡したのか。

役所と協議したのか。

「やったが断られた」と「やっていない」は、全然違います。

そのうえで、正直に申し上げます。

本当にできない場合もあります。

共有者がどうしても同意しない。

後順位の抵当権者が応じない。

債権者の承諾が得られない。

時間が足りない。

買主が見つからない。

そういうときは、私たちも「難しいです」と申し上げます。

期待だけを持たせて時間を使わせることが、一番いけないと思うからです。

その時間を、次の住まいを探すことに使えたかもしれません。

だから、

「うちならできます」とは、確認する前には言いません。

確認してから、できる可能性があるのか、難しいのかをお答えします。

大事なのは、どこの会社に相談するかだけでなく、誰を自分の味方につけるのかということです。

できないことを「できない」と言える相手を選んでください。

よくあるご質問

Q1. 「任意売却はできない」と言われたら、もう無理ですか。

理由によります。

構造的な問題なのか、時間の問題なのか、依頼先の問題なのかによって、話は変わります。

まず、誰が、どのような理由で「できない」と言ったのかを確認してください。

Q2. 債権者が承諾しないと言っています。

なぜ承諾しないのか、理由を確認することが大切です。

価格や売却条件などを見直すことで、再度検討してもらえる可能性があるのか確認してください。

ただし、最終的に承諾するかどうかを決めるのは債権者です。

Q3. 共有者が同意してくれません。

共有不動産全体を任意売却するには、共有者の協力が必要です。

まず反対している理由を確認してください。

状況によっては、弁護士など専門家への相談が必要になる場合もあります。

Q4. 後順位の抵当権者が応じません。

実際に起こり得る問題です。

まず、どのような条件で交渉し、何を理由に応じてもらえないのかを確認してください。

Q5. 買い手がつきません。

価格、販売方法、物件の条件、残された期間などを確認する必要があります。

時間が少ない場合には、通常の住宅ローンを利用する買主だけでなく、決済までの期間を短くできる買主を探す方法を検討することもあります。

Q6. セカンドオピニオンを受けてもいいですか。

もちろん構いません。

ただし、競売手続きが進んでいる場合には時間も重要です。

手元の書類を用意し、現在どの段階にあるのかを確認したうえで相談してください。

まとめ

  • 「できない」の理由は、①構造的な問題 ②時間の問題 ③依頼先の問題に分けて考える
  • 依頼先によって判断や進め方が変わる可能性もある
  • まず、誰が、どういう理由で言ったのかを確認する
  • 「やったが断られた」と「やっていない」は違う
  • 任意売却には、債権者等との調整・承諾が必要
  • 共有不動産では、共有者の協力が必要
  • 後順位の抵当権者との調整が必要になる場合もある
  • 時間が少ない場合は、残された期間に合わせた買主探しが必要になる
  • 本当に任意売却ができない場合もある
  • その場合は、できないことに時間を使い続けず、次の生活の準備に切り替えることも大切

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