結論
代位弁済とは、保証会社があなたに代わって、住宅ローンの残額などを金融機関へ支払ったことです。
その結果、それまで銀行へ返済していた住宅ローンについて、今後は保証会社などから支払いを求められる状態になります。つまり、この通知で最も重要なのは、これから話をする相手が変わった可能性が高いということです。
銀行へ電話しても具体的な話が進まなくなることがあるのは、担当者が冷たいからではありません。代位弁済後は、保証会社などが求償権に基づいて請求を行う段階へ移っているためです。
ただし、**代位弁済の通知が届いたからといって、すべて終わったわけではありません。**家を売却した場合に住宅ローン等を完済できるのか、任意売却を検討する必要があるのか、残った債務をどう整理するのか。まだ確認すべきことがあります。
まず、届いた通知と封筒を捨てずに手元へ置いてください。
代位弁済とは、何が起きたのか
住宅ローンを組む際、保証会社を利用しているケースがあります。返済が滞り、契約上の手続きが進むと、保証会社が金融機関へ保証債務を履行することがあります。
これが代位弁済です。
流れを簡単に整理すると、
①住宅ローンの返済が滞る
②期限の利益を失い、一括請求の段階へ進む
③保証会社が金融機関へ支払う
④保証会社などが、あなたへ支払いを求める
という形です。
保証会社が銀行へ支払ったからといって、あなたの借金がなくなるわけではありません。
銀行へ返すはずだったお金を保証会社が立て替え、その後、保証会社があなたに返済を求める。
この請求する権利を求償権といいます。
なぜ事前に知らされなかったように感じるのか
「知らないうちに保証会社が払っていた」
と驚かれる方もいます。
住宅ローンを組んだ際の保証委託契約には、一定の場合に保証会社が保証債務を履行できることや、その後あなたに求償できることが定められているのが一般的です。
具体的な条項は契約によって異なりますので、保証委託契約書や住宅ローン関係の書類を確認してください。
代位弁済の時期についても、
「期限の利益を失ってから必ず○日」
と全国一律に決まっているわけではありません。
金融機関、保証会社、契約内容、これまでの手続きによって異なります。
代位弁済の通知には何が書いてあるのか
書式は会社ごとに異なりますが、一般的には、
保証会社が金融機関へ支払ったこと。
今後の支払いについて保証会社などが請求すること。
請求額。
支払いを求める期限。
支払いがない場合に法的手続きを検討する旨。
などが記載されています。
請求金額には、元本だけでなく利息や遅延損害金などが含まれている場合があります。
まずは、
誰が請求しているのか。
いくら請求されているのか。
何を根拠にした金額なのか。
いつまでに何を求められているのか。
を確認してください。
銀行に相談しても話が進まない理由
代位弁済後も、それまで住宅ローンを相談していた銀行へ電話される方は多くいらっしゃいます。
しかし、
「今後はこちらへ連絡してください」
と保証会社などを案内されることがあります。
これは銀行の担当者が急に冷たくなったわけではありません。代位弁済によって、請求や交渉の中心が保証会社側へ移っているためです。
大切なのは、
今、誰と話をしなければならない段階なのか
を正確に把握することです。
通知に書かれている差出人、連絡先、債権者・保証会社等の名称を確認してください。
【重要】通知が届いたとき、慌てて約束をしない
ここは慎重に扱ってください。
通知が届くと、
「とにかく電話しなければ」
「何か書いて返さなければ」
と焦ると思います。
しかし、署名して返送する書類や、電話で返済について具体的な約束をする場合は、内容を確認してから対応してください。
債務についての発言や書面が、法律上の意味を持つ場合があります。
ただし、
だから通知を無視してください、という意味ではありません。
放置すれば、そのまま次の手続きへ進む可能性があります。
「何も返事をしない」のではなく、
何を返事するのかを確認してから対応する
という意味です。
法的な意味が気になる場合は、弁護士など法律の専門家に確認してください。
この後、何が起きるのか
保証会社などは、金融機関へ支払った金額を回収する必要があります。
一括返済ができず、そのまま対応が進めば、担保となっている不動産について競売などの法的手続きが検討されることがあります。
また、状況によっては、その後に債権回収会社、いわゆるサービサーが関わることもあります。
つまり、
銀行。
保証会社。
債権回収会社。
と、相談・請求の相手が変わることがあります。
だからこそ、古い相手へ何度も電話するのではなく、
今の債権者や窓口が誰なのか
を確認することが重要です。
今、確認してほしい5つのこと
1.誰から届いた通知なのか
銀行なのか。
保証会社なのか。
債権回収会社なのか。
まず差出人を確認してください。
2.代位弁済された日
通知に記載されている場合があります。
いつ手続きが行われたのかを確認します。
3.現在の請求額
元本。
利息。
遅延損害金。
その他の費用。
どのような内訳になっているのか確認してください。
4.期限
いつまでに連絡や支払いを求められているのか確認します。
5.次の手続きについて何と書かれているか
法的手続き。
競売。
その他の措置。
どのような記載があるか見てください。
通知も封筒もそのまま保管してください。
代位弁済後でも確認できること
1.家を売れば、いくらになるのか
ここが最初です。
家の価格を調べることと、家を売ることは別です。
たとえば、保証会社から2,500万円を請求されていても、家が2,700万円で売れるなら、通常の売却で整理できる可能性があります。
逆に家が1,800万円程度でしか売れないなら、売却しても債務が残る可能性があります。
まず、
家はいくらで売れそうか。
現在の債務はいくらか。
この数字を並べてください。
2.任意売却を検討する
売却代金だけでは債務を返しきれず、通常の方法では抵当権を抹消できない場合、任意売却を検討できるケースがあります。
任意売却とは、債権者などと協議し、抵当権の抹消に応じてもらったうえで不動産を売却する方法です。
代位弁済後でも、任意売却が検討される場合があります。
ただし、
任意売却を認めるかどうかを決めるのは保証会社などの債権者側です。
不動産会社が、
「必ずできます」
と約束できるものではありません。
3.売却後の債務について確認する
任意売却をしても、
売却代金で返しきれなかった債務は残ります。
たとえば、
債務2,500万円。
売却による返済額2,000万円。
であれば、単純計算では500万円が残ります。
実際には費用等が関係するためこのとおりとは限りませんが、重要なのは、
家を売ったら終了ではない
ということです。
売却後に残る債務について、どのような返済を求められるのかは債権者側との話し合いになります。
4.法的整理が必要なのかを確認する
売却後にも大きな債務が残る場合、
自己破産。
個人再生。
その他の債務整理。
などを検討する場合があります。
しかし、
何の手続きを選ぶべきかを判断するのは弁護士など法律の専門家です。
不動産会社が自己破産を勧めたり、
「自己破産しなくても大丈夫」
と決めたりするものではありません。
不動産会社ができるのは、
家を売った場合、実際にどの程度の債務が残りそうなのかという数字を出すこと
です。
その数字を持って法律の専門家へ相談すれば、話が具体的になります。
なぜ代位弁済後は「時間」が重要なのか
任意売却は、
今日相談して明日終わる手続きではありません。
物件調査。
査定。
債権者との協議。
販売価格の確認。
買主探し。
購入条件の調整。
売却代金の配分。
後順位抵当権の調整。
税金等の差押えがあれば、その調整。
売買契約。
決済。
これらを順番に進めます。
中でも、
買主がいつ見つかるのか
は、不動産会社だけでは決められません。
さらに保証会社や自治体など、関係者側にも確認する時間が必要です。
だから、競売などの手続きが進めば、
任意売却という方法が存在していても、それを完成させる時間が足りない
ということがあります。
「早く家を売ってください」
という意味ではありません。
早く、現在地を確認してください。
という意味です。
「代位弁済された=もう競売しかない」ではありません
代位弁済は、住宅ローン問題がかなり進んだ段階の一つです。
しかし、
代位弁済されたら必ず競売しかない
という意味ではありません。
家を売って完済できるケース。
任意売却を検討できるケース。
債務整理と合わせて考えるケース。
状況はいろいろあります。
判断するためには、
住宅ローン・求償債務の残額。
家の価格。
税金等の差押え。
共有者の有無。
競売手続きの進み具合。
その他の債務。
などを確認する必要があります。
では、誰に相談すればいいのか
代位弁済後の問題は、不動産だけでは終わらない場合があります。
家をどうするのか。
残った債務をどうするのか。
税金の問題はないか。
離婚や相続は関係していないか。
次にどこへ住むのか。
その後の生活をどうするのか。
弁護士は法律を扱います。
税理士は税務を扱います。
司法書士は登記などを扱います。
不動産会社は家の価格や売却を扱います。
それぞれ役割があります。
相談する方から見れば、問題は一つです。
「住宅ローンが払えなくなった。この先、自分と家族の生活をどう立て直すのか」
そこまで一緒に考えられる相手を探してください。
株式会社エルライフの考え方
株式会社エルライフは不動産会社ですが、「不動産会社だから家を売る」というところから始めません。
まず確認するのは、今どの段階なのか、現在の債権者は誰なのか、家はいくらで売れそうなのか、売れば債務はいくら残るのか、税金やその他の問題はないか、その後どこに住むのかということです。
そのうえで、
この方にとって最終的に何が一番いいのか
を考えます。
任意売却が必要でないなら、その方法を無理に勧める必要はありません。
士業会は「提携先」ではありません
株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、異なる専門分野を持つ人たちがいます。
社員ではありません。また、案件を紹介するためだけの関係でもありません。
一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考えるチーム・仲間という関係です。
代位弁済後は、不動産の売却と残る債務の問題を同時に考える必要が出てくることがあります。さらに税金や離婚などが重なることもあります。
問題が一つなら、考える側も一つのチームであるべきだ。
私たちはそう考えています。
自己破産について
代位弁済の通知に大きな請求額が書かれていると、
「自己破産しかない」
と思われる方もいます。
しかし、私たちは、
自己破産をするべきかどうかを判断する立場ではありません。
自己破産が必要になるケースはあります。
その判断は弁護士など法律の専門家が行います。
私たちが先に確認するのは、
家はいくらで売れるのか。
売却後に債務はいくら残るのか。
その他の債務はいくらか。
今後の収入と生活費はどうなるのか。
という数字です。
その数字を確認したうえで、必要なら弁護士と法的整理を検討する。
売却ありき、自己破産ありき、リースバックありきで最初から結論を決めない。
これが私たちの考え方です。
私たちに決められないこと
任意売却を認めるかどうかは、保証会社など債権者側の判断です。
販売価格や売却条件にも債権者側の意向が関係します。売却代金から引越し費用などを認めてもらえるのか、売却後に残った債務についてどのような返済条件になるのかも、私たちだけでは決められません。
さらに、
競売手続きをどの時点で止めてもらえるのか、そもそも取り下げ等に応じてもらえるのかについても、債権者側の判断が関係します。
だから、
「絶対大丈夫です」
「必ず任意売却できます」
とは言いません。
できること。
できないこと。
相手の判断が必要なこと。
そこを分けてお伝えします。
よくある相談場面
ケース1 ずっと銀行に連絡していた
銀行へ何度電話しても具体的な相談ができず、
「もう誰も話を聞いてくれない」
と思っていた。
しかし、通知を確認するとすでに代位弁済が行われ、今後話をする相手が保証会社へ変わっていたというケースです。
まず、
「今の相手は誰か」
を確認することが重要です。
ケース2 書類を返す前に内容を確認した
大きな請求額を見て焦り、
「とりあえず書いて返さなければ」
と思っていた。
しかし、書類の内容によっては法律上の意味を持つ場合があるため、署名や具体的な約束をする前に内容を確認したというケースです。
ケース3 先に家の価格を確認した
家を売っても多額の債務が残ると思っていたものの、査定によって具体的な売却可能価格が分かった。
その結果、
保証会社と何を相談するのか。
弁護士に何を聞くのか。
が具体的になった。
数字を出すことで、次の相談が変わります。
専門家コメント 宅地建物取引士 松本
代位弁済の通知を持って来られる方から、
「銀行へ何度電話しても話が進みません」
と言われることがあります。
でも、通知を確認すると、すでに相手が変わっている。
つまり、
銀行と話をする段階ではなくなっている
ことがあります。
銀行の担当者も、保証会社の担当者も、悪い人ではありません。それぞれ組織の中で決められた役割があります。
大切なのは、
誰を責めるかではなく、今誰と何を話すべきなのか
を確認することです。
そして、代位弁済後でも確認できることはあります。
家はいくらで売れるのか。
売ったら債務はいくら残るのか。
任意売却の相談ができるのか。
競売手続きはどこまで進んでいるのか。
そこを一つずつ整理します。
ただし、
「任意売却できます」
と私たちが決めることはできません。
決めるのは保証会社などの債権者側です。
もう一つお願いがあります。
届いた書類に慌てて署名したり、内容を理解しないまま返済の約束をしたりする前に、何が書かれているのかを確認してください。
ただし、放置もしないでください。
確認して、正しく対応する。
ということです。
そして私が大切だと思うのは、どこの会社に相談するかだけではなく、誰を自分の味方につけるのか。
家を売るところまでしか考えない人なのか。
残った債務。
次の住まい。
その後の生活。
そこまで一緒に考える人なのか。
この段階だからこそ、そこを見ていただきたいと思います。
よくあるご質問
Q1.代位弁済されると住宅ローンはなくなるのですか。
いいえ。保証会社が金融機関へ支払っただけで、あなたの支払義務が当然になくなるわけではありません。今後は保証会社などから請求を受けます。
Q2.なぜ保証会社から突然通知が来たのですか。
保証委託契約に基づいて手続きが進んだ可能性があります。具体的な条項や通知手続きについては、ご自身の契約書を確認してください。
Q3.銀行に相談すれば元の住宅ローンに戻せますか。
代位弁済後は、保証会社などが請求の中心になることが一般的です。元の状態へ戻せるかどうかは金融機関や保証会社等の判断であり、一律ではありません。
Q4.一括返済できません。分割にできますか。
債権者側と相談できる場合はありますが、どのような返済条件になるかは個別判断です。不動産会社が確約できるものではありません。
Q5.代位弁済後でも任意売却できますか。
検討できる場合があります。ただし保証会社などの承諾が必要です。競売等の手続きが進むほど時間が限られるため、現在の状況を早めに確認してください。
Q6.届いた書類に署名して返送してもいいですか。
何が書かれているのかを確認してから対応してください。法律上の意味が気になる内容については、弁護士などへ確認してください。ただし、通知そのものを放置することをおすすめしているわけではありません。
まとめ
代位弁済とは、保証会社が住宅ローンについて金融機関へ支払い、その後あなたへ求償する段階へ進んだことです。
最も大切なのは、
今後話をする相手が変わった可能性が高い
という点です。
銀行へ連絡しても話が進まない場合は、通知を確認し、現在の債権者や窓口が誰なのか確認してください。
そのうえで、
①通知の内容を確認する
②現在の債務額を確認する
③家はいくらで売れるのか確認する
④任意売却を検討する必要があるのか確認する
⑤残った債務について法律相談が必要なのか確認する
という順番で整理します。
代位弁済=すべて終わりではありません。
ただし、時間が無限にあるわけでもありません。
まず現在地を知ってください。
調べることと、売ることは別です。
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