結論
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、返済方法を変更してもらう制度は実際にあります。
一般に「リスケ」「リスケジュール」と呼ばれるものです。
住宅金融支援機構も、返済で困っている方向けに返済方法変更メニューを公式に用意しています。申請は返済中の金融機関を通じて行い、対象となる変更については手数料不要と案内されています。
ただし、申し込めば必ず認められるわけではありません。
住宅金融支援機構も、
「審査の結果、お客さまのご希望に添えない場合もあります」
と明記しています。
ですから大切なのは、
リスケを申し込むことだけではありません。
通らなかった場合に、次に何をするかまで決めておくことです。
リスケとは何か
リスケとは、住宅ローンそのものを減らしてもらうことではありません。
返済条件を変更して、月々の負担を軽くする方法です。
主な変更には、
- 返済期間を延ばす
- 一定期間、返済額を減らす
- 元金の支払いを一時的に休止する
- ボーナス返済を見直す
といった方法があります。
住宅金融支援機構でも、離職や病気などで収入が減った方に対して、返済期間の延長などによる返済額の軽減メニューを用意しています。
ただし、月々の返済額が下がっても、住宅ローンが減るわけではありません。
返済期間を延ばせば、利息を支払う期間も長くなるため、**総返済額は増えることがあります。**住宅金融支援機構も、返済期間の延長によって利息負担額や総返済額が増えることを案内しています。
住宅金融支援機構の場合
住宅金融支援機構では、返済が苦しくなった方向けに、返済方法変更のメニューを公開しています。
具体的な相談や申請は、現在返済している金融機関に行います。
また、住宅金融支援機構には返済方法変更シミュレーションもあり、条件を変えた場合の返済額を事前に試算できます。
「相談したら、そのまま変更される」ということではありません。
今後も返済を続けられるかを確認したうえで審査されます。
つまり、
リスケは救済制度ではありますが、無条件の制度ではありません。
民間銀行にも返済条件変更はあります
民間の金融機関でも、
- 返済期間の延長
- 元金返済の据え置き
- ボーナス返済の変更
- 一定期間だけ返済額を減らす
といった相談に応じている場合があります。
ただし、内容も審査基準も金融機関によって違います。
ですから最初にすることは、
借入先に「返済方法の変更について相談したい」と伝えることです。
まだ滞納していない段階なら、なおさら早く相談してください。
なぜ「滞納する前」が大事なのか
住宅ローンでは、滞納が始まると使いにくくなる選択肢があります。
金融機関の商品によっては、返済遅延がある場合、金利タイプの変更など一部の手続きが利用できないことがあります。
つまり、
今は使える方法でも、滞納後には使えなくなる場合がある
ということです。
借り換えについても同じです。
借り換えには新しい金融機関の審査があります。
滞納があると信用情報や返済状況も審査されるため、審査上かなり厳しくなるのが一般的です。
だから、検討するなら滞納前です。
リスケを相談する前に、4つ確認してください
1.変更後の金利
返済条件を変更した場合、現在受けている金利優遇などの扱いが変わることがあります。
これは金融機関や契約によって異なります。
ですから、
「条件変更した場合、今の金利や優遇条件はどうなりますか」
と必ず確認してください。
2.住宅ローン控除への影響
住宅ローン控除の対象となる住宅ローンには、償還期間が10年以上などの条件があります。
国税庁も、実際の返済期間が10年未満になる場合は住宅ローン控除の対象にならないことを示しています。
通常のリスケでは返済期間を延ばすケースが多いため大きな問題にならないこともありますが、
返済条件を変更するときは税制への影響も確認する
という意識を持ってください。
3.月いくらなら払えるのか
「できるだけ下げてください」
ではなく、
「月々いくらなら、生活を維持しながら払えるのか」
を先に計算してください。
住宅ローンだけ払えても、生活費が足りなくなれば意味がありません。
家計全体で考えてください。
4.一時的な問題なのか、ずっと続く問題なのか
ここが最も重要です。
たとえば、
一時的な収入減
- 数か月の休職
- 一時的な売上減少
- 育休
- 転職直後
で、その後収入が戻る見込みがあるなら、リスケは非常に有効です。
時間を買えば、立て直せるからです。
一方、
構造的な問題
- 収入が恒久的に下がった
- 退職して再就職の見込みが立たない
- 住宅ローン自体が収入に対して重すぎる
- 他の借入も大きい
のであれば、リスケをしても問題を数年先に送るだけになることがあります。
リスケは、
時間を買う方法です。
その時間で立て直せるかどうかを考えてください。
リスケが通らなかったら、どうするのか
ここからがこの記事の本題です。
まず、断られた理由を確認する
可能な範囲で構いません。
- 収入の見通し
- 滞納状況
- 返済額
- 他の借入
- 希望した変更内容
何が難しかったのかによって、次に取る方法が変わります。
次の手1 別の変更方法を相談する
たとえば、
「返済期間を延ばす」
という希望が通らなくても、
「ボーナス返済をなくす」
「一定期間だけ返済額を変える」
など、別の方法なら相談できる場合があります。
一つの提案が断られたからといって、すべて終わりとは限りません。
次の手2 借り換えを検討する
金利や返済期間を見直すことで、月々の返済額が下がる可能性があります。
ただし、借り換えには審査があります。
収入が大きく減っている場合や、すでに滞納がある場合は難しくなります。
検討するなら、早い段階です。
次の手3 団信の内容を確認する
病気やけがが返済困難の原因なら、住宅ローン契約時の団体信用生命保険を確認してください。
- がん保障
- 三大疾病保障
- 八大疾病保障
- 就業不能保障
などが付いている場合があります。
加入したときの内容を覚えていない方は珍しくありません。
金融機関に確認してください。
次の手4 固定費を見直す
すぐに見直せるものから始めます。
- 保険料
- 通信費
- 車
- サブスクリプション
- その他のローン
特に大きいのは、
住宅ローン以外の借入です。
住宅ローンだけを見ず、家計全体を確認してください。
次の手5 家を売った場合の数字を出す
ここが非常に大事です。
調べることと、売ることは別です。
確認するのは、
今、家はいくらで売れそうか。
住宅ローンはいくら残っているか。
この2つです。
売却代金で完済できるなら、
「最悪の場合でも、売れば住宅ローンを終わらせられる」
と分かります。
それだけでも、かなり判断しやすくなります。
逆に、売っても住宅ローンが残るなら、
早い段階から準備する理由がある
と分かります。
数字を出したからといって、売らなければならないわけではありません。
次の手6 売却も選択肢に入れる
リスケが通らない。
収入が元に戻る見込みもない。
今の返済を続ければ、数か月後には滞納する。
その場合は、売却も現実的な選択肢として比較してください。
売却代金で住宅ローンを完済できれば、通常の売却です。
売っても住宅ローンが残るオーバーローンの場合は、通常は抵当権を抹消できません。
その場合、債権者の承諾を得て売却する任意売却を検討することがあります。
ただし、
任意売却に応じるかどうかを決めるのは債権者です。
不動産会社が決めることではありません。
やってはいけないこと
カードローンで住宅ローンを払わないでください
リスケを断られた。
今月の返済日が来る。
そのとき、
カードローンやキャッシングで住宅ローンを払う
という方法を選ばないでください。
住宅ローンとは金利が大きく違います。
一時的には払えたように見えても、今度はカードローンの返済が加わります。
それを繰り返すと、
住宅ローンの問題が、多重債務の問題に変わります。
「今月だけ」
を続けないでください。
私たちに決められないこと
株式会社エルライフだけで決められないことがあります。
- 返済方法変更を認めるか
- 変更後の金利や優遇条件
- 借り換え審査
- 団信の保険金支払い
- 任意売却への承諾
- 残債の返済条件
これらは、それぞれ金融機関、保険会社、債権者等が判断します。
ですから、
「リスケは通ります」
「任意売却できます」
とは最初から申し上げません。
確認しなければ分からないからです。
では、誰に相談すればいいのか
返済が苦しくなった問題は、不動産だけではありません。
住宅ローン。
収入。
仕事。
病気。
家計。
他の借入。
今後の生活。
これらが一緒に動いています。
金融機関は返済条件を考える。
弁護士は必要なら法的整理を考える。
不動産会社は、家の価格や売却方法を考える。
どれも必要な役割です。
でも、相談する方にとって問題は一つです。
「住宅ローンが払えなくなりそうだ。これから自分と家族の生活をどう立て直すのか」
そこから考える必要があります。
株式会社エルライフの考え方
株式会社エルライフは不動産会社です。
しかし、リスケを検討している方から相談を受けて、
「では家を売りましょう」
から始めることはしません。
返済方法の変更で乗り切れるなら、
そのほうがいい場合があります。
団信の保障が使えるなら、それを先に確認するべきです。
借り換えができるなら、それも比較するべきです。
最初に考えるのは、
この方にとって最終的に何が一番いいのか。
です。
ただし、リスケをしても数年後に同じ問題が来ることが明らかな場合は、それも正直にお伝えします。
時間を延ばすことと、問題を解決することは違うからです。
士業会は「提携先」ではありません
株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。
弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、それぞれ異なる専門分野を持つ人がいます。
社員ではありません。
案件を回すだけの紹介先でもありません。
一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考える、チーム・仲間という関係です。
住宅ローンの問題が大きくなると、不動産だけではなく、他の債務や税金、法的整理の問題が出てくることがあります。
問題が一つなら、考える側も一つのチームであるべきだ。
そう考えています。
よくある相談場面
※以下は特定のお客様の実例ではなく、一般的に起こり得る相談場面です。
ケース1 一つの変更方法だけで諦めていた
返済期間の延長を希望したが認められず、「もう何もできない」と考えていた。
しかし、別の返済方法変更について金融機関に確認する余地があったというケースです。
ケース2 変更後の条件を確認していなかった
返済額を下げられることだけを見て進めようとしていた。
しかし、金利や総返済額など、変更後の条件を確認したうえで比較する必要があると分かったというケースです。
ケース3 リスケでは先送りになるだけだった
返済額を一時的に下げても、収入が元に戻る見込みがなかった。
そのため、売った場合の金額も確認し、長期的にどちらが生活を立て直しやすいかを比較したというケースです。
専門家コメント 宅地建物取引士 松本
リスケのご相談で、私が最初にお聞きするのは、
「これは一時的な問題ですか。それとも、これからも続く問題ですか」
ということです。
一時的な収入減で、半年後には戻る。
そのような場合なら、返済方法の変更はとても有効だと思います。
時間を買えば、元に戻れるからです。
でも、収入が今後も戻らない。
今の住宅ローンそのものが生活に対して重すぎる。
その場合は、返済額を一時的に下げても、数年後にまた同じ問題が来ることがあります。
だから私は、
リスケを申し込む前に、家を売った場合の数字も知っておいてください
と申し上げます。
売るためではありません。
「もしものとき、どうなるか」を知っておくためです。
売れば住宅ローンを完済できるのか。
売ってもいくら残るのか。
それが分かっていれば、リスケが通らなかったときも、慌てなくて済みます。
そして、できるだけ滞納する前に動いてください。
滞納が始まると、審査や手続きで不利になることがあります。
もう一つ。
焦ってカードローンで住宅ローンを払わないでください。
これは住宅ローンの問題を、もっと大きな借金の問題に変えてしまいます。
大事なのは、
どこの会社に相談するかだけでなく、誰を自分の味方につけるのか。
まだ売らずに済む段階なら、まず売らずに済む方法を一緒に探してくれる相手を選んでください。
よくあるご質問
Q1. リスケを申し込めば必ず認められますか?
いいえ。
住宅金融支援機構も、審査の結果、希望に添えない場合があると案内しています。
Q2. 住宅金融支援機構の返済方法変更に手数料はかかりますか?
対象となる返済方法変更については、手数料不要と案内されています。
Q3. リスケをすると住宅ローンは減りますか?
減りません。
返済条件を変更するものです。
返済期間を延ばした場合は、利息負担が増えて総返済額が増えることがあります。
Q4. 滞納していても相談できますか?
相談自体はしてください。
ただし、滞納が進むほど選択肢が狭くなる可能性があります。
早い段階で相談することをおすすめします。
Q5. 金利は変わりますか?
金融機関や契約によって異なります。
変更後の金利や優遇条件を必ず確認してください。
Q6. リスケを断られました。次に何をすればいいですか?
断られた理由を確認し、
別の返済方法変更、借り換え、団信、家計見直し、そして家を売った場合の数字の確認
を順番に行ってください。
まとめ
- 返済方法変更(リスケ)は実際に存在する制度
- 住宅金融支援機構には公式の返済方法変更メニューがある
- 対象となる変更は手数料不要
- ただし審査があり、必ず認められるわけではない
- 返済期間を延ばすと、総返済額が増えることがある
- 滞納前のほうが、使える選択肢は多い
- リスケをする前に、一時的な問題か、長期的な問題かを見極める
- 通らなかった場合は、別条件・借り換え・団信・家計見直しを確認
- 家を売った場合の数字も先に知っておく
- カードローンで住宅ローンを穴埋めしない
- 調べることと、売ることは別
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