病気や失業で収入が減った まだ滞納していない今できること

目次

結論

病気や失業で収入が減っても、まだ住宅ローンを滞納していないなら、今は選択肢が多く残っている段階です。

滞納が始まる前なら、団体信用生命保険(団信)の保障確認、金融機関への返済条件変更の相談、借り換え、公的給付の確認など、まだ検討できることがあります。

反対に、滞納が始まり、信用情報に延滞が記録され、期限の利益の喪失へ進むと、使えなくなる方法が増えていきます。

そして、先に一つ重要なことをお伝えします。

住居確保給付金は、住宅ローンの返済には使えません。

この制度は原則として賃貸住宅の家賃を支援する制度です。持ち家の住宅ローン返済を補助する制度ではありません。

「何か住宅ローンを払ってくれる公的制度があるのでは」と何か月も探し続けるより、今使える方法を一つずつ確認するほうが大切です。


まだ滞納していないことは、大きな強みです

「来月から払えないかもしれない」

そう思うと、不安になると思います。

しかし住宅ローンの問題では、払えなくなってからではなく、払えなくなりそうな段階で動くことに大きな意味があります。

まだ滞納していなければ、

  • 団信の保障を確認できる
  • 金融機関に返済条件を相談できる
  • 借り換えを検討できる可能性がある
  • 家計を立て直す時間がある
  • 売却した場合の数字を落ち着いて確認できる

からです。

**「まだ滞納していないから相談するほどではない」ではなく、「まだ滞納していないからこそ相談できることが多い」**と考えてください。


まず確認すること1 団体信用生命保険(団信)

病気が原因で収入が減った場合、最初に確認していただきたいのが**団体信用生命保険(団信)**です。

住宅ローンを組む際、多くの方が団信に加入しています。

一般的な団信は、契約者が死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合に、保険金によって住宅ローン残高を返済する仕組みです。

しかし、商品によってはさらに特約が付いています。

たとえば、

  • がん保障
  • 三大疾病保障
  • 八大疾病保障
  • 就業不能保障
  • 全疾病保障

などです。

病気の種類や状態、就業不能期間などが条件に該当すれば、住宅ローン残高の全部または一部が保障されたり、一定期間の返済が保障されたりする場合があります。

「自分は普通の団信だったと思う」と記憶だけで判断しないでください。

契約から10年、20年経っていれば、加入内容を正確に覚えていない方のほうが多いと思います。

借入先の金融機関に「私の団信には、どのような特約が付いていますか」と確認してください。

確認するだけなら、何も失いません。


まず確認すること2 病気なら傷病手当金

会社員など健康保険の被保険者で、病気やけがによって働くことができず、給与を受けられない場合には、傷病手当金の対象になることがあります。

住宅ローン専用の制度ではありませんが、収入が途絶えたときの生活費を支える重要な制度です。

勤務先の担当部署、加入している健康保険組合、協会けんぽなどに確認してください。

支給条件や期間は個々の状況によって異なるため、「自分は対象外だろう」と決めつけず、確認することが大切です。


まず確認すること3 失業した場合は雇用保険

会社を退職した場合には、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付の対象になる可能性があります。

こちらも住宅ローンを直接払ってくれる制度ではありませんが、再就職までの生活を支える大切な収入になります。

退職後は、できるだけ早くハローワークで確認してください。

離職理由などによって、給付開始時期や条件が変わることがあります。


【重要】住居確保給付金は住宅ローンには使えません

生活に困ったときの制度として、検索すると住居確保給付金がよく出てきます。

この制度は、離職や収入減少などによって住居を失った、または失うおそれのある方について、一定の要件を満たした場合に家賃相当額を支援する制度です。

しかし重要なのは、

住宅ローンの返済を補助する制度ではない

ということです。

持ち家に住み、住宅ローンを返済している方が、

「今月の住宅ローンを住居確保給付金で払う」

という使い方はできません。

ここは期待させる書き方をしたくありません。


ただし、売却後の生活では関係することがあります

住居確保給付金が住宅ローンに使えないからといって、まったく関係がないとは限りません。

たとえば住宅ローンの返済が難しくなり、自宅を売却して賃貸住宅へ転居した後。

その時点で収入などの要件を満たしていれば、住居確保給付金の対象になり得る場合があります。

自治体によっては、転居に関係する支援制度を案内している場合もあります。

つまり、

「今の住宅ローンを払うための制度」ではないが、「家を整理した後の生活再建」で使える可能性がある制度

として覚えておいてください。

制度の対象条件や運用は変わることがありますので、実際に利用を検討する際は、お住まいの自治体の自立相談支援機関などへ確認してください。


一番大事なのは、金融機関への相談です

まだ滞納していないなら、借入先の金融機関へ早めに相談してください。

住宅ローンの返済が苦しくなった場合、状況によっては返済条件を見直してもらえることがあります。

たとえば、

  • 返済期間を延ばす
  • 一定期間、月々の返済額を抑える
  • ボーナス返済を見直す
  • 返済方法そのものを変更する

といった相談です。

一般に、こうした返済条件の変更をリスケジュールなどと呼びます。


なぜ「滞納する前」が大事なのか

金融機関から見ても、

まだ約束どおり返済できている人

と、

すでに数か月滞納している人

では状況が違います。

滞納が長期化すれば、金融機関内部の手続きも次の段階へ進みます。

そして期限の利益を失い、一括返済を求められる段階まで進めば、返済条件の変更という話そのものが難しくなります。

だから、

「本当に払えなくなったら銀行へ相談しよう」では遅いことがあります。

「来月から厳しいかもしれない」という段階で相談してください。


金融機関へ相談するときに聞くこと

ただ「払えません」と言うだけではなく、次の点を確認してください。

「毎月の返済額を下げる方法はありますか」

「返済期間を延長できますか」

「一定期間だけ返済負担を軽くする方法はありますか」

「条件変更をした場合、現在の金利優遇はどうなりますか」

特に最後は重要です。

条件変更によって現在の金利条件などが変わる可能性があるため、変更後に毎月いくらになるのかまで確認してから判断してください。


借り換えも、滞納する前だから検討できます

現在の住宅ローンより金利の低い住宅ローンへ借り換えることで、返済負担が下がる場合があります。

ただし、借り換えには当然審査があります。

収入が大きく下がっている。

勤続状況が変わった。

すでに返済を滞納している。

こうした場合には審査が難しくなる可能性があります。

ですから借り換えについても、

検討するなら滞納する前

です。

また、借り換えには登記費用や事務手数料などの諸費用もかかります。

月々の返済額だけでなく、総額で本当に有利なのかを確認してください。


家計で見るべきなのは、まず固定費です

収入が下がったとき、食費を毎日数百円削ることも大切ですが、効果が大きいのは固定費です。

確認したいのは、

  • 生命保険・医療保険
  • 自動車関連費
  • 通信費
  • サブスクリプション
  • 教育費
  • その他毎月自動的に引き落とされる費用

などです。

特に自動車は、ローン、保険、駐車場、税金、車検、燃料代を合わせると、かなり大きな固定費になっている場合があります。

住宅ローンを守るために何を残し、何を減らすか。

月単位ではなく、年間いくら減るかで考えると分かりやすくなります。


【やってはいけない】カードローンで住宅ローンを払う

これは強くお伝えします。

住宅ローンを、カードローンやキャッシングで払い続けないでください。

「今月だけ」

と思って借りる。

翌月も足りない。

また借りる。

住宅ローンは払えているので、一見問題が表面化していません。

しかし、その裏側では金利の高い借金が増えていきます。

そして数か月後、

住宅ローン。

カードローン。

生活費。

すべてが払えなくなる。

こうなると、不動産だけでは解決できない問題になります。

住宅ローンが苦しいと感じた段階で、新しい借金で隠さず、原因そのものを整理してください。


売却した場合の金額を、今のうちに知ってください

まだ滞納していない方にも、不動産の査定をおすすめする理由があります。

売るためではありません。

自分の家が、

今いくらで売れるのか。

住宅ローンはいくら残っているのか。

売ったらいくら残るのか。

この数字を知るためです。

たとえば、

住宅ローン残高 2,000万円
売却見込額 2,600万円

なら、諸費用を考慮する必要はありますが、売却によって住宅ローンを完済できる可能性があります。

反対に、

住宅ローン残高 3,000万円
売却見込額 2,000万円

なら、1,000万円前後不足する可能性があります。

この2つでは、今後の考え方がまったく違います。


「売ればいくらになるか」を知るだけでいい

査定をしたら売らなければならないわけではありません。

調べることと、売ることは別です。

むしろ、売らずに住宅ローンを守るためにも、数字を知っておく意味があります。

「最悪でも売れば完済できる」

と分かれば、落ち着いて再就職活動ができるかもしれません。

逆に、

「売ってもかなり残る」

と分かれば、今のうちに別の方法を考える理由になります。

分からないことが、一番不安を大きくします。


今週確認することは4つです

やることを増やしすぎる必要はありません。

1.団信の保障・特約を確認する

病気や就業不能が保障対象になっていないか、金融機関へ確認します。

2.使える給付制度を確認する

病気なら加入している健康保険、失業ならハローワークなどへ確認します。

3.住宅ローンの金融機関へ相談する

返済条件変更の可能性と、変更した場合の金利・月額を確認します。

4.家を売った場合の数字を確認する

売却見込額と住宅ローン残高を比べます。

この4つを確認してから、

売るのか、売らずに続けるのか

を考えればいいのです。


私たちに決められないこと

正直に書いておきます。

次のことは、株式会社エルライフだけでは決められません。

  • 返済条件変更を認めてもらえるか
  • 借り換え審査が通るか
  • 団信の保障が適用されるか
  • 傷病手当金などの給付対象になるか
  • 住居確保給付金等の公的制度が利用できるか
  • 任意売却が必要になった場合、債権者等が応じるか

それぞれ、金融機関、保険者、行政、債権者等が判断します。

私たちができるのは、

不動産の数字を出すこと。

そして、

その数字を含めて、問題全体を整理すること。

です。


では、誰に相談すればいいのか

病気や失業による住宅ローンの問題は、不動産だけではありません。

仕事。

健康。

住宅ローン。

家計。

公的制度。

税金。

その他の借金。

次の住まい。

家族の生活。

さまざまな問題が重なります。

金融機関は住宅ローンの専門。

行政は公的制度の窓口。

弁護士は法律問題。

不動産会社は不動産の価格や売却。

それぞれに役割があります。

しかし相談する方から見れば、問題は一つです。

「収入が減った。これから自分と家族の生活を、どう立て直すのか」

です。


株式会社エルライフの考え方

株式会社エルライフは不動産会社です。

しかし、

「住宅ローンが苦しいなら家を売りましょう」

というところから始めません。

特に、まだ滞納していない方ならなおさらです。

団信が使えるかもしれない。

傷病手当金などが使えるかもしれない。

返済条件の変更で乗り切れるかもしれない。

家計を見直せば続けられるかもしれない。

それを確認せずに売却を勧めるのは、順番が違うと思っています。

まず考えるのは、

この方にとって最終的に何が一番いいのか。

です。

売らずに済むなら、それでいいのです。


士業会は「提携先」ではありません

株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。

弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、それぞれ違う専門分野を持つ人たちがいます。

社員ではありません。

単なる案件の紹介先でもありません。

一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考える、チーム・仲間という関係です。

住宅ローンだけを見ても答えが出ないことがあります。

だから、必要な場面で必要な専門家の視点を加えます。

問題が一つなら、考える側も一つのチームであるべきだと考えています。


自己破産について

この段階で、インターネットを調べて自己破産という言葉を見つけ、不安になっている方もいらっしゃると思います。

「自己破産しないほうがいい」とは申し上げません。

必要になるケースは実際にあります。

そして、法的整理の判断は弁護士が行います。

ただし、

まだ滞納していない段階で、いきなり自己破産ありきで考える必要はありません。

まずは、

団信。

給付。

返済条件。

家計。

不動産の数字。

を確認してください。

売却ありき、自己破産ありき、リースバックありきで結論を決めない。

これが私たちの考え方です。


よくある相談場面

※以下は特定のお客様の実例ではなく、一般的に起こり得る相談場面です。

ケース1 病気になり、売却しかないと思っていた

病気で収入が減り、もう家を売るしかないと考えていた。

まず住宅ローンの契約内容と団信を確認し、どのような保障が付いているのかを確認するところから始めたというケースです。

ケース2 住宅ローン用の公的補助を探し続けていた

住宅ローンを払ってくれる公的制度があると思い、何か月も検索を続けていた。

住居確保給付金は住宅ローンには使えないと分かり、金融機関への相談と家計整理へ切り替えたというケースです。

ケース3 売却額を知って安心できた

失業して、家まで失うのではないかと不安になっていた。

査定と残債を確認すると、売却した場合には住宅ローンを完済できる可能性が高いことが分かった。

「最悪の場合にも出口がある」と分かり、落ち着いて再就職活動を考えられるようになったというケースです。


専門家コメント 宅地建物取引士 松本

病気や失業で収入が減った方から、

「まだ滞納していないのですが、相談してもいいですか」

と聞かれることがあります。

私は、

むしろ今です。

とお答えします。

住宅ローンの問題は、早く相談するほど選択肢が多く残っています。

滞納してからではなく、

「このままでは払えなくなるかもしれない」

と思った時点が、一番動きやすい時期です。

まず団信を確認してください。

何年も前に住宅ローンを組んだ方で、自分の団信に何の特約が付いているか正確に覚えている方は多くありません。

聞くだけなら、何も失いません。

それから、公的制度についても正確に知ってください。

住宅ローンを直接払ってくれる制度があると思って探し続ける方がいらっしゃいます。

住居確保給付金は、住宅ローンを払う制度ではありません。

ただし、将来家を整理して賃貸へ移ったときには、条件によって生活再建の助けになる可能性があります。

そしてもう一つ。

家がいくらで売れるかを知ってください。

売るためではありません。

判断するためです。

住宅ローンが2,000万円残っている。

家が2,500万円で売れる。

それが分かるだけでも、見える景色は変わります。

反対に、家を売っても大きく住宅ローンが残るなら、それも早く知ったほうがいい。

分からないものは、実際より大きく見えます。

数字を知れば、次に何をすればいいのかが見えてきます。

大事なのは、

どこの会社に相談するかだけでなく、誰を自分の味方につけるのか。

まだ滞納していない方に、いきなり「家を売りましょう」と言う人ではなく、まず売らずに済む方法から一緒に確認してくれる人を選んでください。


よくあるご質問

Q1. まだ一度も滞納していません。相談してもいいですか?

はい。

むしろ、まだ滞納していない段階のほうが選べる方法は多く残っています。

Q2. 住宅ローンの支払いに使える公的な家賃補助はありますか?

住居確保給付金は、原則として賃貸住宅の家賃を支援する制度で、住宅ローンの返済には使えません。

病気の場合は団信や健康保険、失業の場合は雇用保険など、まずご自身が使える制度を確認してください。

Q3. 銀行に相談すると、かえって不利になりませんか?

相談しただけで直ちに不利になるとは限りません。

ただし、返済条件を変更した場合に金利や優遇条件がどうなるのかは、変更前に必ず確認してください。

Q4. 病気で働けません。何から確認すればいいですか?

まず、住宅ローンの団信と特約を確認してください。

そのうえで、勤務先や健康保険に傷病手当金などの対象になるか確認してください。

Q5. 借り換えをしたほうがいいですか?

条件によります。

借り換えには審査と諸費用があります。収入が減っている場合は審査が難しくなることもあります。

検討するなら、滞納する前です。

Q6. 査定をしたら、売らないといけませんか?

いいえ。

査定することと、売ることは別です。

まず現在の売却見込額と住宅ローン残高を知るために確認してください。


まとめ

  • まだ滞納していない今が、最も選択肢が多い
  • 病気の場合は、まず団信と特約を確認する
  • 傷病手当金や雇用保険など、生活を支える制度を確認する
  • 住居確保給付金は住宅ローンの返済には使えない
  • ただし、売却後に賃貸へ移った場合には対象になり得ることがある
  • 金融機関へ返済条件の変更を早めに相談する
  • 借り換えを検討するなら、滞納する前
  • カードローンやキャッシングで住宅ローンを穴埋めしない
  • 家を売った場合の価格と住宅ローン残高を確認する
  • 調べることと、売ることは別
  • 「売る」から考えるのではなく、まず売らずに済む方法から確認する

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