住宅ローンの一括請求が来た 払えないときに残されている選択肢

目次

結論

数千万円の一括返済を求められて、すぐに払える方はほとんどいません。

払えないことを前提に、次を考えて構いません。

そのうえで、まずお伝えしたいことが2つあります。

1つ目。住宅ローンを払えないこと自体は、通常、犯罪ではありません。

支払えないことは契約上の問題であり、それだけを理由に逮捕されたり、刑事罰を受けたりするものではありません。

2つ目。この段階では、すでに難しくなっている方法があります。

インターネットで紹介されている、

  • 借り換え
  • 返済期間の延長
  • 一時的な返済額の減額
  • リバースモーゲージ

などは、基本的に一括請求を受ける前に検討する方法です。

一括請求まで進んでいる場合、利用することが非常に難しくなっているものがあります。

では、

「もう何もできないのか」

というと、そうとは限りません。

この段階でも残されている選択肢があります。

大切なのは、今の段階で使える方法と、もう難しくなっている方法を分けて考えることです。


はじめに

「残金全額を、直ちにお支払いください」

そう書かれた書面を前にして、まず思うのは、

「そんなお金はない」

ということだと思います。

そして次に、

「このまま家を取られるのか」

「裁判になるのか」

「犯罪になるのか」

「家族はどうなるのか」

さまざまな不安が出てくると思います。

まず、ひとつ整理してください。

住宅ローンを支払えないこと自体は、通常、刑事事件ではありません。

住宅ローン契約上の債務を履行できていない状態です。

ただし、だからといって一括請求を放置してよいという意味ではありません。

何もしなければ、債権者側の手続きは進んでいきます。

そして、手続きが進むほど、こちらが選べる方法は少なくなっていきます。

だからこそ今、

「払えるか、払えないか」だけを考えるのではなく、「ここから何を選べるのか」を確認することが大切です。


なぜ一括請求されたのか

住宅ローンには、毎月決められた金額を分割して返済できる権利があります。

これを**「期限の利益」**といいます。

ところが滞納が続くと、住宅ローン契約の内容などに基づき、この期限の利益を失うことがあります。

一般的には住宅ローンの滞納が数か月続いた段階で問題になりますが、具体的な時期や条件は金融機関や契約内容によって異なります。

期限の利益を失うと、それまでのように、

「今月分を払う」

「来月分を払う」

という分割返済ではなくなります。

残っている住宅ローンの全額を一括で返済するよう求められます。

これが、住宅ローンの一括請求です。


【重要】この請求を出したのは、誰ですか

一括請求の書面が届いたら、金額だけを見るのではなく、まず差出人を確認してください。

相手によって、現在の段階が違う可能性があるからです。

銀行から届いている場合

まだ銀行が窓口となっている段階である可能性があります。

まず、書面に記載されている担当部署へ連絡し、現在の状況を確認してください。

保証会社から届いている場合

保証会社が銀行に対して代位弁済を行った後である可能性があります。

代位弁済とは、保証会社があなたに代わって銀行へ住宅ローンを返済することです。

ただし、

「保証会社が払ってくれたから住宅ローンがなくなった」

という意味ではありません。

その後は、保証会社などから返済を求められることになります。

つまり、返済・交渉の相手が変わったということです。

債権回収会社(サービサー)から届いている場合

さらに債権回収会社が関与している場合があります。

この場合も、以前の銀行だけに連絡するのではなく、現在どこが窓口になっているのかを確認する必要があります。

まず、

書面に書かれている会社名

を確認してください。

そこから現在の段階を整理します。


この段階では難しくなっている方法

住宅ローンが払えないと検索すると、さまざまな対処法が紹介されています。

しかし、注意してください。

それらの多くは、一括請求を受ける前に検討する方法です。

借り換え

住宅ローンの借り換えには審査があります。

すでに滞納が続き、一括請求まで進んでいる状態では、一般的に新たな住宅ローンの審査を通すことは非常に難しくなります。

返済期間の延長・一時的な返済額の減額

金融機関への返済条件変更は、もっと早い段階であれば相談できる場合があります。

しかし、期限の利益を失い、一括請求まで進んでいる場合には、応じてもらえる可能性は大きく下がります。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージにも審査や物件条件などがあります。

一括請求まで進んでいる状況では、現実的な選択肢にならないことがあります。

家計の見直しだけで乗り切る

家計の見直しそのものは大切です。

しかし、数千万円規模の一括請求に対して、

「毎月あと3万円節約する」

という方法だけでは解決できません。

一括請求が届いた段階では、家計改善とは別に、住宅ローンそのものをどう整理するかを考える必要があります。


この段階でも残されている選択肢

ここからが大切です。

一括請求が来たからといって、すべての選択肢がなくなったとは限りません。

選択肢1 元の分割返済に戻せる余地がないか確認する

金融機関等に連絡し、

「元の返済に戻す方法は残っていませんか」

と確認してください。

滞納分や遅延損害金の支払いなどを含め、何らかの条件で対応してもらえる可能性がまったくないとは限りません。

ただし、これは金融機関等の判断です。

不動産会社が、

「元に戻せます」

と約束できることではありません。


選択肢2 家を売って整理する

まず確認するのは、

今、家を売ったらいくらになるのか。

そして、

住宅ローンはいくら残っているのか。

この2つです。

たとえば住宅ローンが2,000万円残っていて、家が2,300万円で売れる見込みなら、通常の売却でローンを完済できる可能性があります。

問題は、

売却価格より住宅ローン残高のほうが多い場合です。

これをオーバーローンといいます。

通常、不動産を売却するには抵当権を抹消する必要があります。

売却代金だけでは住宅ローンを完済できない場合、通常の方法では抵当権を抹消できないことがあります。

そこで検討されるのが任意売却です。

任意売却とは、債権者等と協議し、承諾を得たうえで抵当権等を抹消してもらい、不動産を売却する方法です。

一括請求を受けた後でも、任意売却を検討できる場合があります。

ただし、

任意売却に応じるかどうかを決めるのは債権者等です。

不動産会社が勝手に決めることはできません。


選択肢3 残った債務について法的整理を検討する

家を売ったとしても、住宅ローンがすべてなくなるとは限りません。

たとえば、

住宅ローン残高 2,500万円

売却による返済 2,000万円

なら、単純計算では500万円の債務が残ります。

では、その500万円をどうするのか。

分割で返済していくのか。

その他の債務も含めて整理するのか。

自己破産などの法的整理を検討する必要があるのか。

ここは弁護士の専門領域です。

不動産会社が判断することではありません。

だからこそ、

「売ること」と「売った後の債務」を別々に考えないことが重要です。


選択肢4 何もしない場合

何もしなければ、債権者は担保となっている自宅から債権を回収するための手続きを進める可能性があります。

その一つが競売です。

競売の手続きが進むほど、

  • 売却方法
  • 売却時期
  • 引渡し時期
  • 債権者との調整

などについて、こちらから選べる余地が小さくなっていきます。

だから、

「何もしない」ということも、一つの結果を選んでいることになります。


今週やることは3つだけ

何から手をつければいいか分からない場合は、まずこの3つです。

1.書面を確認する

確認するのは、

  • 誰から届いたか
  • 請求金額
  • 支払期限
  • 書面の日付
  • 今後の手続きについて何と書かれているか

です。

封筒も含めて捨てないでください。

届いた日や発送された日が重要になることがあります。


2.書面に記載された相手に連絡する

電話をするのは怖いと思います。

しかし、連絡が取れない状態が続けば、相手側は決められた手続きを進めていくことになります。

まず、

「一括で支払うことはできません。今後について相談したいです」

と伝え、現在の状況を確認してください。

ただし、その場で理解できない約束や合意を急いでする必要はありません。

内容を確認してから判断してください。


3.家を売った場合の数字を出す

ここが非常に重要です。

確認する数字は、

住宅ローン残高

と、

現在の不動産の売却見込額

です。

たとえば、

住宅ローン残高 2,500万円
売却見込額 2,400万円

なのか、

住宅ローン残高 2,500万円
売却見込額 1,500万円

なのかでは、その後の選択肢が大きく変わります。

そして、この数字は家を売らなくても調べられます。

調べることと、売ることは別です。


なぜ「今」動くことが大事なのか

もし任意売却で家を整理する場合、単に買主を見つければ終わりではありません。

一般的には、

  1. 物件を調査する
  2. 売却価格の見込みを出す
  3. 債権者等と売却について協議する
  4. 買主を探す
  5. 売却代金の配分などを調整する
  6. 税金などの差押えがあれば関係機関と調整する
  7. 売買契約を結ぶ
  8. 抵当権等の抹消に必要な準備をする
  9. 決済・引渡しを行う

といった工程があります。

多くの工程で、債権者、買主、金融機関、行政機関、司法書士など第三者との確認や調整が必要になります。

不動産会社だけで日程を決めて進められるものではありません。

そして当然、相手側にも確認する時間が必要です。

そのため、競売などの手続きがさらに進み、残された時間が短くなると、任意売却を成立させるために必要な時間を確保できなくなる場合があります。

その場合には、私たちは正直にそうお伝えします。

「早く動いてください」というのは、家を早く売るためではありません。

時間そのものが、選択肢の数だからです。


では、誰に相談すればいいのか

一括請求まで進んだ住宅ローンの問題は、不動産だけでは終わらないことがあります。

家を売るのか。

売ったらいくら残るのか。

残った債務をどうするのか。

税金の滞納はないか。

離婚や相続は関係していないか。

次にどこへ住むのか。

そして、

その後の生活をどう立て直すのか。

弁護士は法律の専門家です。

税理士は税金の専門家です。

司法書士は登記などの専門家です。

不動産会社は不動産売却の専門家です。

それぞれに役割があります。

ただ、相談する方から見れば、問題は一つです。

「住宅ローンが払えなくなった。これから自分と家族の生活を、どう立て直すのか」


株式会社エルライフの考え方

私たちは不動産会社ですが、

「不動産会社だから家を売る」

というところから始めません。

最初に考えるのは、

この方にとって最終的に何が一番いいのか。

です。

家をどうするのか。

売ると残債はいくらになるのか。

税金の問題はあるのか。

法的な整理は本当に必要なのか。

次の住まいはどうするのか。

そして、

その後の生活は成り立つのか。

ここまでを一緒に考えます。


士業会は「提携先」ではありません

株式会社エルライフは、一般社団法人 士業会と連携しています。

ここには弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士など、それぞれ違う専門分野を持つ人がいます。

社員ではありません。

案件を回すためだけの紹介先でもありません。

一人の相談者の問題を、必要に応じて違う角度から一緒に考える、チーム・仲間という関係です。

一括請求を受けた段階では、

不動産をどうするのか

と、

残った債務をどうするのか

を同時に考えなければならないことがあります。

問題が一つなら、考える側も一つのチームであるべきだと私たちは考えています。


自己破産について

「自己破産しないほうがいい」とは申し上げません。

必要なケースは実際にあります。

そして、その判断をするのは弁護士です。

お伝えしたいのは、順番です。

まず、不動産を整理した場合に、

実際にいくら債務が残るのか。

そして、

今後の収入と生活はどうなるのか。

そこを確認します。

そのうえで、必要であれば法的整理について弁護士と検討する。

売却ありき。
自己破産ありき。
リースバックありき。

最初から一つの方法に結論を決めない。

これが私たちの考え方です。


私たちに決められないこと

正直に書いておきます。

次のことは、私たちの一存では決められません。

  • 元の分割返済に戻してもらえるかどうか
  • 任意売却に応じてもらえるかどうか
  • 任意売却での売却条件
  • 引越し費用を確保できるかどうか
  • 残った債務を分割返済できるかどうか
  • 残債を毎月いくら返済することになるのか
  • 差押え等を解除してもらえるかどうか

金融機関、保証会社、債権回収会社、行政機関など、それぞれ相手側の判断や承諾が必要です。

ですから、

「大丈夫です。なんとかします」

とは申し上げません。

できること。

できないこと。

相手の判断が必要なこと。

それを最初にお伝えしたうえで、できる限りの調整をします。


よくある相談場面

※以下は特定のお客様の実例ではなく、一般的に起こり得るケースです。

ケース1 犯罪になると思い込んでいた

一括請求の書面を見て、

「このまま払えなければ刑事事件になるのではないか」

と不安になり、誰にも相談できなくなっていた。

住宅ローンを払えないこと自体は通常、刑事事件ではないと分かり、そこから現実的な整理を始められたというケースです。

ケース2 使えない方法を探し続けていた

インターネットで借り換えを知り、金融機関を探し続けていた。

しかし、一括請求まで進んでいる現在の状況では一般的に非常に難しいことが分かり、今の段階で残っている方法を検討することに切り替えたというケースです。

ケース3 相談する相手が変わっていた

以前の銀行に何度も連絡していたが、話が進まない。

届いている書面を確認すると、すでに保証会社など別の窓口へ移っていた。

現在の相手が誰なのかを確認するところから整理したというケースです。


専門家コメント 宅地建物取引士 松本

一括請求の書面を持って来られる方は、たいてい憔悴されています。

数千万円という数字を突然突きつけられるのですから、当然だと思います。

最初に申し上げるのは、

「住宅ローンを払えないこと自体は、通常、犯罪ではありません」

ということです。

意外に思われるかもしれませんが、

「逮捕されるのではないか」

「刑事事件になるのではないか」

と本気で心配されている方がいらっしゃいます。

まず、その不安を一つ外してから話を始めます。

次に申し上げるのは、

「一括で払えないことを前提に、これからを考えていいですよ」

ということです。

数千万円をすぐに用意できる方は、ほとんどいません。

だからといって、無理にお金を工面して状況をさらに悪くしてはいけません。

新たな借入れを考える前に、今の住宅ローンと不動産の状況を整理してください。

そして、インターネットで見つけた対処法が使えなくても、そこで諦めないでください。

もっと早い段階で使う方法と、一括請求を受けた段階で考える方法は違います。

あなたの段階には、あなたの段階で確認すべき方法があります。

それから、銀行や保証会社の担当者を敵だと思わないでください。

あの方たちは悪い人ではありません。

組織に所属している以上、守るべき立場があります。

ただ、その立場と、あなたやご家族のこれからの生活を考える立場は同じではありません。

だからこそ大事なのは、

どこの会社に相談するかだけでなく、誰を自分の味方につけるのか。

だと思っています。

今いくらで売れるのか。

売ればいくら残るのか。

数字を知るだけなら、家を売る必要はありません。

まずは、そこからで構いません。


よくあるご質問

Q1.住宅ローンの一括請求を無視するとどうなりますか?

何もしなければ手続きが進む可能性があります。最終的には、債権者が担保となっている不動産から回収するため、競売などの手続きへ進むことがあります。


Q2.一括請求を払えないと犯罪になりますか?

住宅ローンを支払えないこと自体は、通常、犯罪ではありません。

契約上の債務の問題です。

ただし、放置しても債務がなくなるわけではありません。


Q3.もう一度、分割返済に戻してもらえませんか?

金融機関や債権者等の判断によります。

相談できる余地が残っている場合もありますが、必ず戻してもらえるとは限りません。


Q4.借り換えはできますか?

借り換えには審査があります。

すでに滞納が続き、一括請求まで進んでいる場合、一般的には非常に難しくなります。


Q5.一括請求が来た後でも任意売却はできますか?

できる場合があります。

ただし、債権者等の承諾が必要です。

また、買主探しや関係者との調整に時間が必要になるため、手続きが進むほど難しくなる可能性があります。


Q6.家族に知られずに相談できますか?

相談段階では、プライバシーに配慮して対応します。

ただし、実際に任意売却や債務整理などの手続きを進める場合には、債権者や専門家など、必要な関係者との情報共有が必要になることがあります。


まとめ

  • 一括請求は、期限の利益を失ったことなどにより、住宅ローン全額の返済を求められている状態
  • 住宅ローンを払えないこと自体は、通常、犯罪ではない
  • 最初に、誰から一括請求が来ているのかを確認する
  • 一括請求まで進むと、借り換えや返済条件変更などは一般的に非常に難しくなる
  • それでも、現在の状況によって残されている方法はある
  • 今すぐ確認するのは、①届いた書面 ②現在の相手 ③売却見込額と住宅ローン残高
  • 調べることと、家を売ることは別
  • 任意売却には債権者等の承諾が必要
  • 売却後に債務が残る場合は、その後の返済や法的整理まで考える
  • 時間そのものが、選択肢の数になる

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